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園長通信(令和4年8月号)

園長つうしん

4月から賑やかに始まった1学期の保育が終了しました。

先日参議院選挙が終わりましたが、その選挙期間中、安倍晋三元総理が銃殺されるショッキングな事件に、安全な日本で何故起こったのか、と世界が反応しました。

 

事件が選挙期間と重なり「民主主義への冒涜、民主主義を守る」というフレーズがよく言われ、私自身もその「民主主義」を改めて考える機会となりました。

日本経済新聞7月5日朝刊、熊本大学・苫野(とまの)一徳氏の「学校の存在意義」という記事の抜粋を紹介します。

 「人類は、1万年以上の長きにわたって、凄惨な命の奪い合いや、ごく一部の人が 大多数の人々を支配する時代を生きてきた。今日の民主主義は、そのような歴史 を何とか終わらせるために、最近になってようやく登場したアイデアである。

 (中略)お互いの自由を尊重し、この社会を共につくり合うこと。学校は本来こ のことをこそ、子どもたちに教える場でなければならないのだ。」

・民主主義を成立させるには、おたがいの自由を認め合う「自由の相互承認」。

・その自由を認め合った対話を通した「合意形成」。

・その合意に向かってそれぞれが行動する「心構え」。

社会を共に作り合う民主主義は、勝手に身につくものではなく、経験を通して学校が教えなければならない。

そうでなければ学校としての存在意義がない、と苫野氏は主張しています。

 

社会の人間関係は、リーダー的なキーマンがみんなの意見を取りまとめ(意見を聞かないリーダーもいますが)ルールを考える。

それを他のメンバー達は受け入れるか、合わない人はその場を去る姿があります。

民主主義的視点から見ると、意見は自由に言えても、ルール作りや合意形成部分はなかなか上手くいかないの現状です。

 

一人のリーダーの意見だけで行動したり、一人が意見調整して決めたりするのではなく、関わるみんながいる場で自由な意見を出し合って合意形成する作法、これは教えてもらわなければ、自然に獲得できる技法ではないのです。

だってその技法は、知らないし、面倒だし、時間もかかるから。

 

「民主主義」という振り返りを通して、私自身は、この民主主義をたくさん経験する、アナログで面倒くさい当園の保育を続ける思いがより強固となりました。

保護者の皆様も、是非この夏「民主主義」について考えてみてはどうでしょうか?